第1章

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「いらっしゃいませ!」 「どうも」 志麻ママが言ってたその人が数人連れ来店した。 低い一声で入って来たその人を真面目な顔付きで出迎えVIP席へ案内する。 ママの彼氏に粗相しようものならクビどころじゃ済まないからな。 席につけるホステスやら預かり物を受け取ったりしてキビキビ動いていると、その人からこっそり心付けを手渡された。 「きみ、ママの甥っ子だったね?これで美味しものでも食べなさい」 「あ、ありがとうございます!」 ちらっと手の中に見えたものは“万”の字が。 (やっぱでっかい病院経営してっとチップも万なんだ♪これからも愛想良くすりゃ毎回貰えるかも♪) ママ以上に気に入られるように努力しようと決めたおれだった。 客も一通り入り落ち着いた頃、おれは伝票のあるカウンターへ注文の見落としがないか立ち寄った。 (VIP席の伝票は...あれ?あの人...氷川総合病院の人...てことは、ねぇちゃんとこの?!) .
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