第1章

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伝票とVIP席を何度も見返しヤバくないかとビビる。 もしねぇちゃんがバイト入ってる時にあの氷川佑一郎ってママの彼氏が来店したら、ねぇちゃんのバイトもバレるんじゃ! でも待てよ?ママは全部知ってて雇ってるし、ママの彼氏なんだから何もかも知っててとか? ま、おれがそんな心配する必要もねぇかも? なんてすぐ楽観的に思い仕事を続けた。 ヘタに考え巡らしてチップ貰えなくなるようなことになりたくないからな。 そういう面倒事も見て見ぬ振りすんのがこの世界の流儀ってもんだし。 ホールの隅でホステスからの注文がないか目を配る。 VIPのガラス越しにママが女の顔になっているのが少し見えた。 (40過ぎても叔母さんも女なんだな...。酒の入りがいつもより早いし頬も赤いぞ?大丈夫かよ...) 11歳の時両親と共に事故にあい死別した。 おれとねぇちゃんは数日入院する程度の怪我で済んだものの、両親は即死だったと聞かされ幼いながらに沢山悲しんだ。 子供二人だけでアメリカに居られるわけもなく、唯一の肉親の叔母が日本からおれたちを迎えに来てくれ一緒に住むことに。 .
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