第1章

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当時の叔母は一介のホステスでしかなく、その仕事でおれたち二人を必死にここまで育ててくれた。 本当の親でもないし、生まれてから会ったこともなかった人だったから慣れるのに数年掛かったけれど、日本に慣れるのが精一杯でこの人に頼るしか生きるすべがないのだといつしか納得していた。 今じゃ顔色見てご機嫌も窺えるようになったし、叔母は叔母らしく親子よりも一歩引いた大人としておれに接してくれるから楽でもある。 いつか叔母の手から離れ、叔母も自分の人生を楽しんでくれたら...なんておれなりに幸せ願ってもいた。 叔母があんな顔してるんだ、きっとすごい惚れてていつか結婚なんて考えてるのかも? (いや、待てよ?50過ぎてる男だぞ!不倫ってやつじゃ?!いやいや!こんな詮索もすんなっておれ!) 今夜もこんな調子で店は繁盛のまま終わっていくかと思えた。 メンバーズ制であるからそんなに新規は滅多に来ないし、大体見知った客ばかり。 あと1時間もしたら閉店だからそろそろチェックする客もいるんじゃ... .
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