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疲れた体で家へ辿り着くと、部屋の電気がついていた。
「ねぇちゃん起きてるのか?」
もし寝ていたらと静かに鍵を開けたら。
「おかえり、疲れたでしょ?夜食食べる?」
「ねぇちゃん...寝なくていいのか?明日も早いんだろ?」
「まぁね。でも醒が帰ってくるか心配だったし」
「ちゃんと帰ってくるよ!高校生の時じゃあるまいし」
「そうよね...今はもう醒も大人だもんね...」
ねぇちゃんが少ししんみりしたように俯いた。
ほんの数年前、おれは少し荒れていた。
ねぇちゃんも叔母さんも好きだけど...親のありがたみってもんを知る前に死んじゃったから甘える方法も素直になる方法も分からずただツッパった。
学校で素行の良くなかった友達とも仲良くしたりして家に帰らない日もあったり...あの当時は随分心配させたかもしれない。
だからあの頃の名残か...ねぇちゃんは今でもおれの帰りを毎回心配する。
心の中ではおれだって“ごめん”って思ってるけど、その一言が今でも言えないでいた。
「で、お腹空いてるでしょ?」
「あ、いや大丈夫。すぐ寝るし」
「そう。じゃあ朝ごはんの下準備だけして私も寝ようかな」
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