プロローグ

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「父さん、母さん、兄さん...今年は醒と二人で来たよ。 志麻叔母さんはどうしても来れなくて。 私も醒も元気してる。だからこれからも私たちを見守ってね?」 「頼むぞ?父さんたち!」 声に出して私たちは話した。 まるで目の前に居るかのように。 「聞いて?醒ったらまだ大学行こうとしないのよ?!サボってばっかで勝手に休学して。 それで叔母さんとこのバイトだけ!夢枕でもいいから叱ってよ!」 「おれはおれでやりたいこといろいろあんだよ!若いうちしか出来ないこといっぱいあるだろ? だからこれでもおれなりに精一杯生きてるんだって! 大学なんていつでも行けるじゃん!だから父さん、いや母さんも兄さんも夢枕にまで出て来なくていいぞ?!若いうちはぐっすり寝ないと頭悪くなるからな!」 「頭が悪くなっても困らない生活してるくせに!」 「うるせぇよねぇちゃん!」 「ふふふっ♪...」 意外と涙は続かないものなのかな? 叔母さんが居なけりゃもっと泣けるかと思ってたのに...悲しみも慣れるものなのだろうか? それとも私自身が大人になったから? 強く生きるためには泣いてばかりもいけないと思えたから? 兄が亡くなって11年、両親で8年...私の悲しみは落ち着いたのかもしれない。 .
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