プロローグ

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墓地を後にし、醒と二人でホテルへ戻った。 明日は帰国するため観光も何も無い。 目的は家族の墓前に手を合わすためであり、昔住み慣れた思い出の地を巡る必要もないから。 幼少期に過ごした家はもう他人の手に渡り家族を感じる地は残っていない。 命日のために渡米し、日常のために帰国する。 8回目のこの日も無事済んでいくこととなった。 「ねぇちゃん、帰ってソッコー仕事?」 「そのつもりだよ。醒は?」 「おれは2.3日休んでから行くかな?」 「私が帰ってるって時点で醒も帰ってるってバレるのに?絶対叔母さん怒るよ? 無理ぐり働かせてもらってるのに...」 「じゃあしゃあねぇーかなぁー。気ぃ向いたらその夜から出るよ」 「そうしなよ。少しでもお給料多い方が家計も助かるし」 「ふんっ!保険金めっちゃあるんだろ?なにも二人して必死こいて働かなくても...」 「醒!」 「ごめん...」 「父さんたちのお金あてにしない、その約束でしょ?」 「だった...かな?」 「もう...」 .
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