食べた

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食べた

満員電車に揺られて帰宅。 終電に間に合わない時はタクシーでそんな毎日だった。 いつも一緒起きて→仕事→帰宅。 そんな毎日に飽き飽きしながらも生きていく為にはしょうがない。 最後に彼氏がいつだったのかも思い出せない。 身なりに気を使うこともなくなった。 仕事柄会社以外の人間と関わることが無いからだ。 人間の三大欲求も睡眠だけに忠実になった。 そんな私が… そんな私が… あるお店に出会った。 いつもの帰り道。 「早く寝たい。シャワーめんどくさい。」気だるげに歩く深夜。 ふといい臭いがして足を止める。 「こんなお店合ったっけ?」 路上には優しい木漏れ日が漏れる。 懐かしく感じた。 臭いに体が引かれ引き戸を開けそうになる。 「ダメ。明日も早いのよ。」自分で自分に言い聞かせる。さっき帰宅途中にクライアントからの変更で出来上がりつつあった仕事に修正が入った。 「まともな物いつ食べた?」自問自答を繰り返す。 最後に湯船に使ったのはいつ? 入社当時は毎月欠かさずネイルに行った。今は?引き戸にかけた手はささくれだらけ。 「お腹すいた…」 自問自答を繰り返していた筈なのに引き戸は開いていた。 「こんばんわ。何か食べてかれますか?」 その声に顔を上げた。
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