叫び

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叫び

少し前に、同僚の仲間が生徒さんと深い仲になったことが、問題になった。 馬鹿だなぁ、と本気で思った。 好きになったのも、愚か。 想いを通わせたのも、浅はか。 そして、バレただなんて、馬鹿馬鹿し過ぎる。 好きになってはいけないし。 関係を持ってはいけない。 年齢差もあれば、既婚者なのだ。 そこを好きになる理由がない。 問題ない相手など、山ほどいるのだ。 それなのに、そんな相手を選ぶなんて… 愚かでしかない。 僕は、同僚に力説した。 「やめろ。絶対にやめろ。どうにもならないんだから!」 そう言った。 話しているうちに、声の力は、どんどん強くなっていた。 半ば、叫ぶようになってしまった。 心が痛んだ… 僕は 自分自身に叫んでいたのだ。
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