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一時間目終わりの休み時間、早くも腹が減ってどうしようもなかった俺は、母が持たせてくれたお弁当を食べることにした。どう考えても、お昼休みまでもちそうにないんだから仕方ない。
おにぎり二個とおかずの入った弁当箱。エビフライ、唐揚げ、卵焼き、ウインナー、などなど。さすがは母、俺の好きな物をバッチリ入れてくれている。
がっつく俺の横で、何故か友だちの真人が切れ長の目をやや細め、流し目を寄越してくるのが若干気になる。数日前の満月の日、妖しく光る月明かりの下で見たような……。
――気のせい、気のせいだ、絶対に。
そうやって自分に暗示をかけなければ、何かのラインを越えてしまいそうな気がする。
真人の視線の意味に思いを巡らせ、ようやく合点が行った。なんだ、そんな事。
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