扉の向こうへ…

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 おかずにがっつく振りをして、真人の視線には気付いていない風を装うのに必死だった。  だから、それは突然でほんの一瞬の出来事だった。  光が遮られ目の前がやや暗くなったと同時に、唇に柔らかいものが押しつけられた。そして濡れた感触。離れていく真人の顔。  ――今、何が? 「なっ?!」  「(りく)、ここにご飯粒ついてたから」  自分の唇を指さしながら、当然の事のように言う真人。  ――だって、今、真人は俺に……。  一瞬、周りの音も何もかもがストップしたように感じられたけれど、そんな訳はなくて。クラスメイトもいくつかのグループに分かれてそこかしこで楽しそうに喋っている。  ――キス、したよな?!  
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