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「睦美がいなけれりゃ、楽しそうに笑って、いたら皆で睦美の分からない話をするのは、わざとでしょ?」
さっき、ふっちーがいるから1組に来てるんじゃないの、なんてからって悪かったなぁと思った。
「ごめん、むっちゃん、全然知らなくて……」
「え、いいよ、だって仕方ないもん」
「昔からそうなんだよ、あいつ。ああいうやり方でいつも中心にいる」
「ふっちーには振られたわけでしょ? なら、もういいんじゃないの?」
「諦めてないから、ややこしいんだよ。ちぃこ、男絡むとややこしいのよ。逆に別の男子を好きだと……めちゃくちゃいい奴なんだけどね」
「分かるわ、その感じ」
と、想像出来てしまって嫌な気持ちになる。
「じゃあ別の奴を好きになって、誰かと被るとこんなの繰り返すの?」
と、さっちゃんが顔をしかめた。
「……もう、しばはく考えたくない。しんどい」
むっちゃんが、そう言って
セイが
「食え! セイラ特製のウインナーだ!」
そう言って、むっちゃんの口にねじ込んだ。
「セイ、特製ってか……」
と、さっちゃんが冷静に言って
「うん、伊◯ハムの企業努力」
と、セイも悪意のカケラもなく笑った。
「あはは!でも、美味しい!」
むっちゃんが笑ってくれて、ホッとしたところで、各々の疑問をぶつけた。
セイはなぜむっちゃんがここで私たちとお弁当を食べてるかの疑問。
「どういう知り合い?」
「ちぃこの被害者」
そう説明した。
私からもセイへ疑問をぶつけた。
「セイの名前……」
「うん“朝比奈星空”」
「え?」
「あさひな、せいら。物凄いメルヘンな名前でしょ、よろしくね、朱里」
ハンサム女子の名前が可愛すぎた。
「だから、みんな“セイ”って呼んでる」
「セイラって顔じゃないからね」
セイはそう言って笑った。
「あ、むっちゃん今日から3日間、バスケの合同練習あるけど、見に来たら?」
「え! 本当!? 行こうかな、朱里!」
……うわぁ。ややこしくなってきた。でも、正直に話すことにした。紗香も話してって言ってたし、“紗香”ってちゃんと名前出して説明した。ここはこれ以上ややこしくしたくはなかったから。
「そっか、うん、じゃあその子と見て。私は……一人でも……見たいから行こうかな」
むっちゃんがそう言って、本当にふっちーのこと、好きなんだなぁ。むっちゃんも。そう思った。
セイの頭の上にメロンパンが置かれ
「サンキュー、ふっちー、今日、むっちゃんも見に来るって」
そう言った。
「へぇ、バスケの時代かねぇ」
当の本人はそう言ってまた私の月バスを広げた。
「あ! ちょっと! 返してよ!」
「今日だけ。探しといてやるから!」
ふっちーの言葉に、首を傾げてセイとむっちゃんが私を見るもので………私はまた、新たにこの二人にもこの“秘密”を打ち明ける事になったのだ。
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