告白の欠片

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 数日後、浅見さんはさらに私を驚かせた。 「ご両親に会わせて頂きたい」 プロポーズがあったわけでもなく、本当にいきなりの申し出に戸惑う。 「その為に連絡をくれたんでしょう」  浅見さんはにこやかに笑っていたけれど。 「行こう、茉奈さん」 あ、それから。賢人と名前を呼ぶようにって付け加えられた。  案外に強引な賢人に、お見合い結婚をしたらこんな感じなのかな。なんて想像をしたりして。両親に会わせてみたら賢人はとても歓迎をされた。 「まさか茉奈にこんないいお相手がいたとは」 母はなんだかほっとしているし。父に至っては。 「そうですか、会社経営を。それはご立派だ」 裏に含むものが見え隠れして喜んでる。 「認めて頂けてよかったよ」 「あの、どうしてそこまで」 こんなに短期間で。不可思議すぎて尋ねてみた。 「パーティーで、一目惚れだったから」 ドクン―― 鼓動が波を打つ。なんのときめきも感じなかった賢人に、初めて胸が高鳴る。
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