告白の欠片

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「じゃ、次に行こうか」 私の家を後にして、賢人は車を走らせる。何処に行くのかと聞いた時には既に取引銀行の前に着いてた。 「賢人さん、あの……っ?」 「ここはうちのメインバンクなんだ」 車を停めて賢人は私の方へ向き直る。 「貴方の家の力になれるかどうかは、詳細を伺ってから決定する」 それはもちろん、仕方がないことだと頷く。 「それともうひとつ。交換条件のようで勘違いをされたくはないが……」 膝に置いた手の平に賢人の手が重なり合う。そんなふうに見つめられたら、私。  どうしよう、どきどきがやまない――  賢人は私を連れて銀行の中へ。融資窓口へと向かいソファに腰掛けていると、別の扉から年配の銀行員が慌てた様子で近付いて来る。 「おっしゃって頂けたら私共で参りましたのに」 「あぁ、今日は別件なんですよ」 仕切りのある融資窓口ではなく、ひとつ奥の応接室へと案内をされた。
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