告白の欠片

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 千尋が私に問い正す。さっき見た紙の切れ端はなんなのかと。 「あれは俺が書いたものだよね」 「未練がましくてびっくりでしょう?」 今度はちゃんと捨てておくから。私なりに精一杯の笑顔を作って千尋に笑いかける。    泣かないように。千尋とまた会えるように。 「茉奈、浅見さんとはいつから?」 「どうして。千尋が教えてくれた回避案よ」 千尋はちょっとだけ顔を歪めて。それからすぐに賢人が扉を開けて出て来て、頭を下げて行ってしまった。  賢人とのお付き合いは進んで、もうすぐ言われた期限になる頃、賢人から結婚の申し込みがあった。婚活パーティーに居合わせた友人には羨ましがられたけど、もう少しだけ時間が欲しいってお返事をする。  打算。駆け引き。愛。現実。  何歳(いくつ)になってもどうして―― 一番に好きな人と結ばれたいなんて思うんだろう。 「茉奈さん、どうかした?」 素敵な食事とスマートな会話。賢人が誠実に向き合ってくれる事が決め手になり、プロポーズを承諾する。
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