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父の会社を千尋が助けてくれた翌日、私は結納を御断りした。
「一緒に時間を重ねませんか」
「勝手な事ばかり言っているのに」
躊躇った私を誘って賢人が外へと連れ出す。
「あの、何処に行かれるの」
大型ショッピングモールに併設されたレジャースポットへ。車が到着をしたけれど降りることができない。
「どうして、此処に」
「寂しそうに見える」
賢人の手が私の頭に優しくおかれて。
「何かがあったんだよね?」
結納を御断りした事を責めずに。賢人は私を心配してくれる。
ずっと忘れられなかった。千尋との再会は思い描いていた結末を迎えられなくて。
「こういう時は思いっ切り笑った方がいい」
引っ張られるようにしてレジャースポットに行った。幾つかのアトラクションを廻るうちに、賢人と笑いあえてる自分に気が付く。
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