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帰り道に賢人はもう一度、最初からやり直そうと言ってくれた。
「ゆっくりでかまわないから」
前に進みたい。彼の優しさにふれて、私の中で何かが変わりはじめてた。
「プロポーズは保留かな」
向けられたやわらかな眼差しが嬉しい。
―――
『やだ、てっきり告白かと思っちゃった』
『茉奈。時間は過ぎてるんだよ』
あの時、千尋はそう言ってまた笑った。
『幸せになれよ』
千尋の笑顔を思い出す。私の中で止まっていた時がようやく動き出した。
賢人と時間を重ねて。足りなかったピースが埋まっていくように。私の心は少しずつ満たされていく。
賢人は両親への気遣いも忘れずに、私自身も大切にしてくれてた。
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