告白の欠片

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 華やかなホテルの会場――  「茉奈、テラスに出ないか」 「えぇ」 艶やかなドレスで着飾る女性達が賢人を振り返る。人の群れを抜けて夜風が吹くテラスへ。 「疲れた?」 「大丈夫よ、ありがとう」 賢人は取引先が開くパーティーに私を連れて行く。彼の婚約者として紹介をされる。  優しい風が吹く―― 私の頬をやわらかな風がなでてゆく。 「茉奈」  賢人の腕が腰に絡む。胸元に寄り添って夜空を見上げる。星の煌めきが少なくて残念がる私に、賢人が笑いかける。 「代わりに、これを」 すっと指にリングが差し込まれる。夜の暗さの中に光る輝き。
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