告白の欠片

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『茉奈、君が―』  マナ、キミガ ―― スキ ナンダ ――  ちぎれた断片を思い出す。望んでいた言葉をあの時、千尋はくれなかった。溢れ出した涙が止まらない。 「わ、茉奈。泣かないでよ」 「嬉しいの、賢人さん。ありがとう」  ずっと聞きたくて聴けなかった。失くした言葉の真実(ほんとう)の続きを賢人がくれる。 「賢人、大好き」 胸に飛び込んだ私を賢人が受け止めてくれる。 「茉奈からの告白は初めてだね」 あたたかな胸の中に包まれる。夜風がやわらかに肌を撫でていく。 『心から幸せになって欲しい』 千尋が紡いでくれた言葉をきっと忘れない。  I want to be beside you and share the time together.  貴方のそばで同じ時間を過ごしたい――   [完]
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