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『茉奈、校舎の裏に花が咲いてたよ。お昼はそこで食べようよ――』
あの頃の千尋ではないみたい。思い出すのはいつでも笑顔ばかりなのに。
「お力になれず申し訳ないですが」
二人が途方に暮れる表情をしてる。私はずかずかと三人の前に割り入った。
「回避できる方法は? 無いんですか」
やわらかな髪を軽く横に流して。目元は相変わらず優しそうなのに。
「保証人、もしくはそれに相当する繋がりが証明できれば。可能性はありますよ」
「わからないわ。簡単に言って」
ねぇ、千尋。貴方の口から聞きたかったことがあるの。破れてしまった手紙の続きはなんだったの。
「保証人を増やすか、お前がそれなりの方と縁を作れって言われてるんだよ」
千尋が答えるより早く、父が私の横からぼそっと返事をする。
「わ、私!?」
婚活パーティーだって抜け出してしまったような私に、会社を助けられる様な方とのご縁なんて。
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