告白の欠片

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 ざわつく想い。  唇をきゅっと噛み締めて。鞄の中から走り書きされたメモと携帯電話を取り出す。  電話を掛ける? 掛けない? 迷っていられる状況じゃない。  幾度めかのコールで相手に繋がる。 「……はい、昨夜。ええ…」 ときめきは足りなかったけれど。千尋から説明を受けた時、この方の事が頭に浮かんでた。 『カップル成立もしていませんが』 フリータイムを前にして帰ろうとしたら、すぐに追いかけて来た男性。 『もう一度、お会いできませんか?』 身元確認を怠らないパーティーの参加者。つまりは確実に高級クラスの方には違いない。  爽やかな話し方に、端正な甘い顔立ち。婚活パーティーはサクラですか? なんて疑いたくなる様な。ん、そんなふうに感じた方。 『マナー違反ですが』 要らなければ捨てて下さいと、手の平の中に握らせられたメモに。 「突然にすみません。えぇ……」 自分から相手に連絡をする事になるなんて、思ってもいなかった。
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