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約束はその日の夜。昨夜のホテルなら間違えないと、ホテル内にあるレストランで待ち合わせた。
「来て頂けて」
窓際のテーブルには先に彼が腰掛けていて、私を見ると会えて嬉しいですと紳士的な挨拶をしてる。
「よかった。きっと無理だろうと思ってました」
「私の方こそ、昨日は失礼をして」
彼―― 浅見さんは、何故婚活パーティーを利用しているのかを話してくれた。
「素直に。結婚を望むからですよ」
「浅見さんならモテそうなのに」
落ち着いた身のこなしに上品なスーツ。言い寄ってくる女性はたくさんいそう。
「だから、パーティーを利用したんだ」
くすくす笑った浅見さんの言葉の意味が、まだよくわからない。
「結婚となると相手はなかなかね、難しいから」
遊びたいだけの女性に惑わされて考えを変えたらしいのだけど。
結婚を前提に父の会社の力になって欲しい。そんな事を思う私とその女性になんの違いがあるんだろう。
「ごめんなさい――!」
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