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第八話 子供
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「異常が特別…か…」
学校が終わっていつもの四人で下校中 まだあの言葉が脳裏を駆けめぐっていた
すると俺のつぶやきが一緒に帰っていた創太に聞こえたらしい なんという地獄耳だろう
「先輩、なんかあったんですか?複雑なこと言って…」
「いや、別になんでもないんだが…」
「それならいいっスけど…」
この四人で帰ることも異常なのだろうか ケンカすることが日常的なのも特別なのだろうか 単にものの見方なのではないか
そんな風に考える中 創太が急に話し出した
「異常ってのは誰にでもあるもんですよ、『自分は異常なんじゃないか』
とか考えられる人のが、俺は特別だと思いますよ」
「……そうだな…」
そうだな
そうだといいな
「仁人くん!創太くん!ちょっと来て!!」
河川敷の道にさしかかろうとしたときだった
前を歩いていた佳奈と鈴が必死の形相でこちらに走ってきた
「ど、どうした二人とも!?そんなに焦って!」
本当に焦っていた 額には汗が滲んでいる
「こ、子供が!」
「子供?」
「子供が川のそばで倒れてるの!」
それが 始まりだ
そして 終わりだ
これは異常で特別な 俺たち四人の物語
正しい間違いを犯した
愚かで幸せな物語
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