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第五話 保健
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目覚めると俺はわりかし大きめなカーテンに遮られたベッドに寝ていた 状況からして保健室のベッドだろう
今は何時だろうと体を起こそうとするが 体が思うように動かない 目がだんだん覚めてくると 自分には無数の包帯が巻かれていることに気がついた 通りで動けない訳だ とくに右手はガチガチに固定されている
「おっおっ、目が覚めたかね」
俺が目を覚ましたのを察知したのか 保険の先生が顔を出した 案の定ここは保健室のようだ
「今…何時ですか?」
「そんなにツンケンしないでよ~一応いとこじゃーん?」
純粋な疑問だったのだが 相手からすると無愛想に聞こえたらしい
「すいません、今何時ですか?」
「大差ないな~、12:00だよ!相変わらず君は礼儀正しいというか堅苦しいと言うか…」
片谷 真見 (カタヤ マミ)
特徴的なロングの茶髪にだらしない白衣という姿で一目で保健の先生とはとてもじゃないが判断できない
そう この人は俺の学校の保健の先生でもあり いとこでもあるのだ 少し保健の先生としては生徒に馴れ馴れしいが 人気はあるらしい
何というか…掴めない人だ
苦手ではないが
「君が体育で怪我をしたからわざわざここまで運んできて手当てしたんだよ~」
「体育で怪我をした…ね…」
どうやら軽いケンカになったことはバレていないらしい その方が楽で俺にも都合がよかった
思い出したが 軽井沢はどうなったのだろう お互い倒れてしまうほどにやりあったのだ あいつも怪我の一つや二つくらいしただろう
その思考を読んだかのように 片谷が答えた
「君の隣で倒れていた子、君とペアだったらしいじゃん?その…何トカ沢くんは君ほど重症じゃなかったから、今普通に授業受けてるよ」
なんだ 結構無事だったのか そう考えると 自分の空手の腕がとても鈍っていることが分かってくる 筋トレくらいはするか…
「それより気になったのは、周りの反応だよ、なんか白々しいというか、隠しごとをしているというか…いくら格闘技っていう怪我をしやすい競技だからと言って、君の体がそこまでボロボロになるのも少し疑問かな」
まずい 疑われている いくらケンカを売られたとはいえ 俺もそのケンカを買ってしまったのだ 面倒ごとになって高校に影響するとさすがに嫌だ
この人は結構鋭い 一見だらだらしているように見えのに 物事の真実をすぐ見抜いてしまう
「まぁとりあえず怪我の手当てを済ませちゃおうか、ただ包帯で固定しているだけだから、それ」
「……何で固定しただけなんですか?」
「君は全身に怪我を負っているからね~寝てる生徒の服を脱がすのはさすがに抵抗があるね~」
「…そうですか、ありがとうございます…」
人気の理由がなんとなく分かったような分からないような複雑な気持ちになった
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