第四話 恐怖

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第四話 恐怖

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「恐怖」などの感情は人にとって狂わないためのブレーキとなる 冷静であることは人を守ってくれる  しかし 俺のその「恐怖」は「怒り」に押しつぶされた これは家族をバカにされた怒りでもあり 俺自身がとてつもなく相手を恨んでいる「怒り」でもあった 「ハハハハハハ!食らえやァ!」 軽井沢がでたらめなパンチを繰り出してきた 俺はそれに対し 右手の正拳突きで対抗した 拳がぶつかり合い 鈍い音が体育館中に響き渡った 「パキ」という音がしたが どちらの音かは分からない 「アアア!?」 軽井沢が声を上げたので きっと軽井沢の方だろう まぁこれはおれの願いでもあるのだが 今度は俺が軽井沢の胸ぐらをつかみ 力任せに後ろに投げ飛ばした すると軽井沢はバランスを崩して後ろへよろめいた ガードもなく 完全に隙だらけだ  「くゥ!や、やめろォ!やめてくれェ!」 その命乞いのような感じに必死さが伝わってきたが すでに遅い  「『やめろ』だと?ふざけるな、そんな都合の良い話があるか?この不良が。」 気づいたときには 右手が相手の腹に突き刺さっていた 「ぐゥはァ!?ぜってェ…てめェ…ゆるさね…ェ」 その言葉を言い終わる時には すでにその巨漢は地に伏していた 「妬みや恨みでは何も始まらない…そこで追いつこうと努力ができることが、人間のいいところなんじゃじゃないか…」 そして俺もまた 痛みのショックで地に伏すことになった ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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