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祖父のことを知ったのは、小学になったばかりの頃だった。
世間では、「ジュニアハイスクール」などと呼ばれるようになって久しかったが、小さな生まれ故郷の島では、誰もが、「小学校」と呼んでいた。
「俺たちゃ、日本人だぜ。何で、外国読みなんかにしなきゃいけないんだ」
と、周りの大人達は言い、実際、その島に住んでいるのは、日本人がほとんどだった。
そんな昔からの知り合いばかりの島では、誰もが住人の家々の事情に精通しており、当然のことながら、自分と、自分が祖父だと思っていた人との関係も知っていた。
「お母さん、私の本当のおじいちゃんって、誰なの?」
学校から帰るなり、布団を取り入れていた母親に、睦実(むつみ)はそう尋ねた。
「なあに、いきなり」
布団を濡れ縁に置いた母は、目をぱちくりとさせた。
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