始まり

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顔面を覆っていると腕を捕まれ顔を鼻先スレスレまで近づけてきたので、自分とキスする趣味はないと遠慮なく手で押し返し睨めつけると「俺が居るのが面白くて、つい近づきすぎてしまった」と焦ったように離れた後、ふわりと笑んで「俺の名前は咲島 響(さきじま ひびき)です。俺の中に入ってる貴方は?」と聞き慣れた低い俺の声で自己紹介が返ってきた。 俺の顔で笑みなんか浮かべるな。気持ち悪い。と心の中で悪態をつき「木藤 槙(きとう しん)だ。」と返してやった。 この白い空間は何で、どうしてお互い入れ替わっているのかという話になった。 聞けば咲島 響という男はアイドルで【黒薔薇】という名前のグループのメンバーらしい。度々女性絡みのスキャンダルがあり、その末に刺されたらしい、、、今回はまずった。と全くもって笑えないが、俺の顔でヘラヘラしている。気持ち悪いからやめて欲しい。 そもそも【黒薔薇】などというアイドルグループなんぞ知らん。人気絶頂らしいが知らないものは知らないので顔を顰めると困ったような顔をする。気を取り直して話を進める為に仕方なく俺も意識を失う前の出来事を話すと「歳ですか?」と笑われた。その笑顔に何かイラッとして殴りそうになったが、怒りを納め話を進めるも入れ替わった原因と白い空間については何も分からなかった。 詳しい話をしようとすると急激に視野が白く霞んできてそのまま、また意識を持っていかれたー・・・ *
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