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 あたし篠原舞っていう。十七歳、女子高生なんだけど、学校は好きじゃない。  学校嫌いなのは、あたしが莫迦で勉強がよくわからないせいだけじゃない。ガールズ・トークって奴が嫌い。誰かの陰口とか、誰と誰がつき合っているとかに一ミリも興味が持てない。そしたら完璧にハブられた。  学校以上に最悪なのが家で。あたしが十歳の時に両親は離婚して、ママはパパより若い男と再婚して、すぐに弟が産まれた。あたしには、ママの今の夫は、よその男の人が家にいるって感じしかしない。気持ち悪いよ。  新しい「お父さん」とロクに口もきかないものだから、親子仲は最悪で、あたしは家に居場所がなくて、家に帰りたくもない。  だから、あたしは街に出た。賑やかな街にいると、誰とも話さなくても淋しさが紛れた。日が落ちて、ビルの広告に明かりが瞬く時間になっても帰りたくなくて、ガードレールに腰掛けていたら、あいつに出会った。  あいつ、元カレとは、とてもうまくいっていた。あたしはあいつが大好きだった。家出してあいつの部屋に転がりこんだ。愛し合う以外に何もしない日々。最初はとても楽しかったのに、いつからかあいつは怒り出し、あたしを殴るようになった。  そして三日前の夜、あたしはあいつにボコボコに殴られ、部屋から逃げ出した。このままじゃ殺される。体中痛くて、歩き疲れてゴミ置き場のゴミ袋の間に倒れこんだ。 「大丈夫?」  優しい声。力強い腕に抱き起こされた辺りで、あたしの意識はフェイドアウトした。気づいた時はこの家で、専務が手当をしてくれた。本当にありがたかったけど……家にはまだ帰りたくないんだ。
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