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あたしの物思いを邪魔するように、音が台所でした。台所に人が入ってきた。社長だ。
お茶って呟くのが聞こえた。信じられない。台所のお茶の置き場所もわからないなんて。
あたしは、ソファから立ち上がって、お茶の一式が入ったお盆を指さした。すると、今度は急須を持って、お湯、お湯とうろうろし始める。苛々したあたしは言った。
「いいです、社長。あたしがお茶淹れます」
テーブルに向かって、お茶をすすっている社長を見たあたし、閃いた。
「社長、あたし、この家にずっといたいです。何でも家のことしますから、お願いします」
あたし、頭をさげて、テーブルの板にくっつけた。まず社長から説得しちゃえ。
じっと社長はあたしを見つめる。出ていけ! と怒り出さないか。あたしは不安になった。長い沈黙の後、社長の口が開いた。
「……じゃあ、君は、わが社に入社希望ということでいいんだな」
入社? この人、何言ってるの。
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