訳注

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『フィアクの聖歌』:『パトリック生まれけり』とも。聖フィアクがその師である聖パトリックの事績を讃え作った詩、とされるのですが、実際には聖フィアクの時代よりも後の作であることが分かっています。 作者マクラウドは随筆でこの詩を「古代ゲール語の聖歌の中で最も美しいもの」の一つとして挙げており、子供時代にアイオナ島で耳にしたこの詩が鮮烈な印象を残したことが窺えます。 詩人戦士(スカルド):「これらのスカルドたちは、主に王や貴族の宮廷に仕え(だからスカルドは屡々(しばしば)宮廷詩人と訳される)、その戦いや死を歌い、また自己の功業、恋愛、その他を歌った。スカルドは詩人であると共に、また武勇に優れた戦士として、王の身辺に侍して、宮廷では栄誉ある地位を占め、戦場ではその親衛隊の一員として奮戦したようである。」(山室 1969 『北欧文学の世界』p.19より引用) 中部(ミドル)諸島(アイルズ):ヘブリディーズ諸島の一部。スカイ島から南方にあたる、アイオナ島を含むアーガイルの島々を指すようです。 人命金:原文では eric。 ゲール語で支払い・賠償金・償いなどを意味します。クーフーリンの父親ともされる神ルーが自身の父親を殺した三兄弟に対して実現不可能と思える eric を課す『トゥレンの子らの最期』の再話において、マクラウドは eric は ransom (身代金)に近いと注釈しています。しかし、拙訳ではこれに従わず賠償金(人命金)としています。 コンラの詩:この詩は単独で抜き出され、 "Monody of Isla the Singer"(Monody:哀悼歌)という題でマクラウドの詩集に収録されています。この Isla the Singer が指すのは、おそらくは連作 "Silk O' The Kine"、"Ura and Urla"の登場人物です。
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