2人が本棚に入れています
本棚に追加
―その頃、臨海市統合管轄ネットワーク管理局Nexus―
「frees、cansそして…SPHERE…彼らは可能性について追求しすぎなんだよ。夢ばかり見ているから足をすくわれ、地に落ちたんだよ…君たちは。」
白髪混じりの四十代前半の男性…Nexusの中央局長の溝上は目の前のガラスケースに目をやった。
そこに置いてあったのは、まだこの時は初期モデルだった次世代ゲーム機〈リンクゲート〉だった。
〈ただ仮想世界にダイブするだけのゲーム機ではない〉というキャッチコピーで販売する予定らしい。
「桑部くん、リンクゲートに搭載してくれと頼んだ“例の機能”はどうかね?」
眼鏡をかけた気だるそうな雰囲気の青年…桑部真介は電脳科学研究所での優秀さを評価され、この春からNexusのメンバーとして仕事についていた。
「順調ですよ、溝上さん。このままのペースなら、予定通り今週中にテストができますよ!」
「そうか…それは良かった。」
人間はSFをSFで終わらせてしまっている。だが、私は信じているんだ。いつか人間はSFに出てくるもののほとんどを実現させられるってね。
私はそのパイオニアになりたいんだよ。そのためにも……“臨海市の子供たち”には協力してほしい。
特に…最近この街にやって来たという少女…リリスには。
―放課後、通学路―
「な、なんで私目隠しされてるの?ひどいことするの?」
「しないしない…ちょっと見てほしいものがあるから、それまでは何も見ないでほしいなぁ…って思ったんだ。」
「お前さぁ…なんで女の子を連れていこうなんて言ったんだよ?ってか、お前仲良いならお前が呼べばよかったろ!」
「僕今日日直だったからみんなより帰るの遅いじゃん?それでもし先に帰られちゃったら嫌だからね。」
先に『見せたいものがあるから帰らずに待っててほしいな』って声かければそれで良かったって話じゃんか。
とか思っているうちに、オレたちは見せたいもの…秘密基地に着いた。
最初のコメントを投稿しよう!