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―秘密基地―
僕はリリスちゃんの目隠しをとってあげた。
「うわぁ…すごい…もしかして、これを見せたかったの?」
「うん、そうだよ!これが僕と裕斗と…リリスちゃんの秘密基地だよ!」
「ひみつ……きち?何、それ?家じゃないの?」
「秘密基地ってのは、読んで字のごとく、誰にも秘密の場所に作った基地のこと!基地と言っても何をしたっていいんだ!」
「本当はまだここから色々飾りつけとかしたかったんだけどね…夏までにリリスちゃんに見せたくてさ。」
「私もって言ってたけど…よかったの?二人で作ったんでしょ?なら…二人のものじゃ?」
「秘密基地は作った人に関わらず、作った人が誘いをかけた人なら誰でもOKなんだよ!だから、ここはリリスちゃんの秘密基地でもあるんだ!」
僕は右手でVサインを作って、思いっきり笑ってみせた。
「二人とも……ありがとう!」
リリスちゃんは何でかは分からなかったけど、少しだけ涙を流しながらお礼を言ってくれた。
「実に素晴らしいじゃないですか。流石は“姫を呼ぶ新たな光”を秘めた少年だ…」
僕の目線の先にいたのは黒いスーツ姿の男性だった。観るからに怪しすぎる人だった。
「アンタ何者だよ!どうしてここが分かったんだよ!何が目的だよ!」
ふと、リリスちゃんの方に目をやると…どこかで見たことがあるって感じと、それでいてかなり怯えて真っ青になっていた。
「私の目的は君たちを夢の世界へと案内すること。そして…リリス嬢の奪還です。彼女は元々私の屋敷で暮らしていたはずだ…さぁ、帰りましょう、リリス嬢!」
「嫌です…絶対帰りたくありません!私はまだ一輝くんたちとたくさん喋れてません!それに…もっとお友だちが欲しいんです!」
あんなに必死になって叫ぶってことは…きっと、リリスちゃんはここに来るずっと前からこの人と何かあったんだ!
「わがままなことを言わないでくれますか、お嬢様。私の研究はもうすぐで完成されようとしているのだ…」
研究………何のことだよ?
~プロローグ3 秘密基地ともう一つの世界 終~
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