プロローグ4 その世界、未知にして無限大

2/5
前へ
/80ページ
次へ
―一方、仮想世界サイバーアース・UNIONのルーム― オレ、蒼天馬宙は同じチームのみんなを集めて、緊急会議なるものを開いた。 何でも影夜の奴がいかにもヤバそうな情報を掴んだっていうから、共有もかねて集まってもらった。 「俺も見たときは驚いたぜ…『何で七年前に企画されて凍結された幻のゲーム機が今になって出たんだ』ってな。」 この黒髪に黒い狐のお面を着けた見るからに怪しさ満点な男こそ、オレの長年の戦友にして、現在は電脳医学の研究をしてる黒木影夜(かげや)。 「確かに、お父様もリンクゲートの発表は驚いてたわ…もちろん、私もお父様からそれを聞かされたとき、びっくりしたわ。」 オレの右隣に座っている金髪の女の子はオレの婚約者の月本瑠菜(るな)。今はオレとは場所が違うけど、学校の先生になるべく勉強してるんだ。 「それで、リンクゲートの目玉機能は何や?」 影夜の横でメロンソーダを飲んでるのは(こう)、住んでる場所は違うけどこっちでは同じチームの仲間として戦ってくれるんだ。ちょっと変わった喋り方なのが特徴だね。 ちなみに他に集まったメンバーは オレの中学からの親友で、黄土色の髪がトレードマークの清介(せいすけ) 瑠菜の家に代々仕えてきた桐島家のご令嬢・優乃(ゆの) ショートカットヘアーで一人称が僕の女の子・彩花(さやか) 少し内気なうちのチーム最年少の時雨(しぐれ)の計四人。 「俺もハッキリと確かめたかったんだけど、掴めた情報の中で一番有力かつデケぇのは“現実の肉体ごと仮想世界へ飛ばす”ってところだ。」 ……オレは一瞬『コイツ何寝言言ってんだ?』って思ったけど、すぐに納得できた。だってこれまでオレらそういうのさんざん経験したから余計納得できる。 「何それ、つまりは異世界転移を擬似的に体験できるってことなの!?」 「まぁ、その解釈で間違いないだろうよ。けど、同じ研究をしてる身としては明らかに無茶だって思ってる。」 確かに…生身の人間を別世界に転移だなんてほぼ不可能だ。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加