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「さて、僕も僕で本を探すよ。」
「え?よかったの、みんなのところに行かなくても。ドッジボールやるんじゃ?」
「ううん、いいんだ。僕、実はやりたいことがもうひとつあってさ。そのためにはある本が欲しいんだ!」
さすがにリリスちゃんに秘密基地を教えるのは早いよ。それに、女の子はそういうのあまり興味なさそうだし。
「じゃあ、いろいろ教えてくれたお礼に探すの手伝ってあげるよ。」
「えっ、いいの?やったぁ、たっくさん時間がとれそうだな!」
ふぅ……適当に言ってごまかさないと…って、一緒に探すって一番ダメじゃん、バレちゃうよ!
―その後―
危ない危ない…お母さんからこっそり盗んだマイバッグがこんなところで役に立つなんて…普通のバッグじゃ服の中にしまってもバレちゃうからね。
「ところで…リリスちゃん、そういう本が好きなの?」
リリスちゃんは『人魚姫』『シンデレラ』の二つを借りたみたい。
「うん、好き。お姫様ってなんだか憧れちゃうの。それに……私の前にもいつか来てくれるかもって思ってるんだ…」
「誰が?」「…………王子さま。」
「へぇ、そうなんだ。きっと来てくれるよ、王子さま。だってリリスちゃんはそう信じてるんでしょ?だったらさ、その思いはきっと届くと思うんだ!」
「え……ほんと?」
「うん!死んじゃったお父さんが教えてくれたんだ。『どんな夢も…叶うって信じていれば、いつか叶う日がやって来る』って!」
「なんだか一輝くんって、すごいなって思った。」
「え、どこが?僕はただそう信じてるってことを言っただけだよ?」
「今もそう…キラキラしてるもん、一輝くん。私、そんな一輝くんにちょっとだけ憧れちゃった。」
「あはは…あ、そろそろ戻らないと授業始まっちゃうよ!係の人にお願いして早く帰ろう!」
「うん!」
お父さんの教えてくれたこと…本当だったんだ。僕の願い、早速ひとつ叶ったよ…父さん。
そのあと僕とリリスちゃんは少し駆け足ぎみに教室まで戻った。僕らの教室は多少遠いからね。
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