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プロローグ1 元・英雄たちの後日談
―2030年、架空の都市・臨海市のあるカフェ―
僕…火村陽輝は、臨海警察の特殊部隊に配属されている。これには大きな理由があるんだ。
七年前に実際にVRの世界を見て回ったという経験があること。
その数年後に起きた大きな事件の解決に大きく貢献したこと。
大きく分けてこの二つの実績を見た有瀬さんが、警察の人たちが管轄するパソコンにメールで推薦書を書いてくれたからだ。
その有瀬さんと言う人は、かつて僕や僕の相棒と幾度となく対峙した存在で、一度逮捕されたけど、その事件が起きた際に一時的に釈放されて、その時に自分の脳を焼ききって向こう側の世界…仮想世界の中に自分を移動させたんだ。
自分がかつて作りたかった理想郷をその手で実現させるために。
僕は今は現役医大生だ。それでいて前述した仕事をしているわけだから、同僚からは掛け持ちキツいだろなんて言われてる。
実際すごくキツいけど、向こうの世界でのマナー改善に繋がることなら僕は喜んで引き受けるし、最近は相棒のお陰もあってか、少し楽なんだ。
で、今僕はどこにいるかというと…中学の時から通い続けている大型ショッピングモールに併設されたカフェだ。
例の相棒と大切な打ち合わせをするためにここに集まることにしたんだ。
「もう…呼び出し人が遅刻なんてあり得なさすぎるよ、馬宙!」
僕の目の前で「悪い悪い」と頭を掻きながら苦笑しているの藍色の髪の青年こそ、七年前の事件から今に至るまでずっと最前線で戦ってる僕の相棒・蒼天馬宙だ。
「あははは……教育実習の準備だの何だのしてたら遅くなったよ、ごめんな陽輝。」
「それで……“例の組織”については何か分かった?」
僕たち二人が今まさに現在進行形で探し回っている謎の組織〈ニュー・エネミーズ〉。目的や首謀者が一切不明で、僕たちもハッカーにでも頼らない限り尻尾が掴めそうにない相手なんだ。
で、仕方なく上層部の人の特命許可をもらって馬宙の仲間のハッカーに助けてもらうことにしたんだ。
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