霞む月明かりの下

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少年は乗っていたブランコから降りて僕の方へとやってくる その腕や首のいたるところに包帯が巻かれていた 「えへへ、かわいいなぁ。もこもこしてるね」 「そう?僕にはわからない」 近づいて僕のポンチョや髪や角を触ってくる 雨で濡れているのに…目の前の少年には関係がないのかも 雨のせいで臭いなんてしないはずの鼻に、薬品が染み付いたような香りが漂った そういえばどこかで…誰かの記憶の中で見たことがあったような気がする あれは、病を治す場所で見た 「ねぇ、名前、なんていうの?」 「僕?僕はムゥだよ」 「ふふふ、あはは。ねえ笑おうよ!えがおになるとね、幸せになれるんだよってかんごしのお姉さんが言ってたの」 少年は雨に濡れた服を絞りながら楽しそうに笑う
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