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霞む月明かりの下
暮雨…ぼう。夕暮れの雨。
さああ、と細い糸のような雨が降っていた
日が落ちる前のいっときを切り取ったような紫と青の空が見える
ここは、町中なのかな
石でできた壁や道、空の上を走る線が太い柱を伝って伸びている
僕は杖を鳴らしながら人のいない町を進んでいった
「とても…広い」
いくら探してもこの夢の主はいない
今までこんなことはなかったのに…
フリルの隙間から覗く髪が濡れていく
ふと、音が聞こえて来た
音のする方へと歩いていくと小さな公園の中に一人、少年が座っているのが見えた
白い白い服をきた姿に向かって話しかける
「はじめまして」
「……?ひつじさん、なの?」
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