水飼のシナ

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水飼のシナ

ノスタルジア……故郷を懐かしむ郷愁、望郷。又は過ぎ去った時代を懐かしむ懐古、追憶など。 薄暗い小屋の中 辺りに散乱する乾いた牧草の中を歩いていくと椅子に座る男が一人いた ここは男の夢の世界 カランと音を鳴らしながら男に近づくと男は顔を上げた 「はじめまして」 「何もんだよお前さん。見たこともねぇ服を着て」 「ここはあなたの夢の中だよ。僕はただ、見に来ただけ」 男はくたびれていた 「どうりで、いつもよりも体が軽いって思った…そうか……ここは俺の夢か…」 かすかに雨の匂いがする 夢は男の心を映し出すものだから…彼は今、この暗い心を抱えている 「全部、聞いてあげるよ?ここは夢、起きたら忘れてしまうから言えることもあるのかもしれないね」 「そうか……そうかぁ……じゃあ、聞いてくれるか?」 「うん」
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