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ガラッ。
2-Aの引き戸が開く。
『転校生』が、凍えた空間を意に介さず教壇に向かい歩いて来る。
耳を澄ませば、足元からパキパキという霜を踏む音が聞こえそうだ。
中性的な美貌の持ち主だが、学ランを着ていることで男子生徒だということが分かる。
天宮時空――。
流麗な縦書きで黒板に白いチョークで書き、クラスメイトを振り返る。
チョークなんて何校ぶりだろうか? そう想いながら。
「天宮時空です。東京から転校してきました。宜しくお願いします」
自己紹介を終えると、軽く頭を下げる。
再び、ざわつく2-A。
身長はそれ程高くはない。
スリムだが、華奢でもない。
女性の様に長い睫毛と整った顔のパーツ。
色白の肌。黒髪は、決して長髪ではないが、男子にしては長い方だ。
……この世界でもという意味だが。
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