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チャリで10分かけて、最寄りの駅に着く。
電車の中では中学校からの幼なじみ2人と他愛のない会話で盛り上がる。
「あと1年だなー、お前らとも。ってか大学進学するの?就職?」
「大学進学かな、お前は?」
「俺は就職する。金ほしいし。りゅうは?」
「東京の大学かな」
「やっぱ行くん?」
「おぅ!」
名駅(名古屋駅)について、中学校の友達と別れ、次の近鉄では高校の友達と再開。
「俺らも高3だなー、あと1年。りゅうはやっぱ東京の大学にいくん?」
「おぅ!」
色んな人に言われる。東京の大学。
名古屋じゃ家を出るということは珍しいこと。
名古屋人はあんまでたがらないから。
なぜ東京か。今思えば、ただの「東京」という言葉の魅力だけで選択してたと思う。
それに兄が東京に出ていたこと、親父が別居してすんでる場所ということもあったし、なんとかなるだろう。そんな単純な気持ちだった。
高校の最寄り駅から歩いて8分。
そこに母校はある。
。
高校のチャリ通の友人たちも「おはよー!」と次々挨拶、「うぇーい!」と朝の弱い俺は右手を伸ばし、軽くあしらう程度。
校門には先生がたっていて、いつもあと1分だぞ!
「大丈夫だってー」そんな変わらない日常。
今日は快晴。
新しいクラスの掲示板をみて、3年8組の教室に入る。
桜の木々たちが、風にあおられ、おじきをしている。
今日から高校3年生。
このときはワクワクもドキドキもなにも感じなかった1日。
だるさだけでの高校生活。
でも大切な高校生活でした。
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