部活動という小さい空間の大きな成長

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家につき、お風呂に入る。 シャワーを頭からかぶり、下を見つめる。 1点目のゴール。あの止まった感覚、スローモーションにみえたボール、また一つレベルが上がったなと余韻にしたって風呂に浸かる。 ふと天井を見上げる。 来年には東京かー。 この家ともおさらばか。 ぽちゃん。ぽちゃん。ぽちゃん。頭から落ちる雫が水にあたる音とともに 昔の小さいときの記憶がよみがえる。 「なんなのよ!あなた!」 「うるせー!」 どん!どん!!ばん! 親父とおふくろの怒鳴り声。なにかを投げる音。 夫婦なんて、家庭なんて、一緒にいると仲が悪くなる。それが当たり前のような環境に育った自分。 親父がかえってきたことを知らせる玄関の扉の音。 それと同時にねたふりをするおふくろ。 顔も合わせないで2階に上がる親父。 顔が不機嫌になるおふくろ。 喧嘩するとき以外、話したところ、見たことなかったなー。 おふくろと話すと親父の悪口。 親父と話すとおふくろの悪口。 嫌とか、やめてとか、そんな感覚なかった。 それが普通の家庭。そう思ってたんだ。 所詮は男と女。 価値観はいなめない。 風呂から上がり、玄関から「ただいま」の声。 真ん中の次男の兄が帰ってきた。会社の僚に入っている次男は土曜日になるとかえってくる。 僕はこの兄である次男を嫌っていた。 あと一歩で障害者手帳をもてる発達障害の次男。 お兄ちゃん!そんな言葉すら今まで言ったこともない。 僕が小学生の時、よく次男の中学校の先生がきていた。 次男はひどいいじめにあってたからだ。 おふくろはしっかり守っていたと思う。 だけど俺はコミュニケーションも話すこともつまらないカッコ悪い次男が気持ち悪く思っていた。大嫌いだった。 「りゅう!ただいま」 「うん」 そんな感じだ。 家族とはただ家の中で暮らす他人。 昔はそう思っていたんだ。
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