部活動という小さい空間の大きな成長

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部活動という小さい空間の大きな成長

高校3年の4月後半、 僕はクラスメイトより、授業より、 思いを募らせていたものがあった。 それはサッカー部の引退をかけた戦い。 いわゆるインターハイ予選。 県大会は当たり前、目指すは全国大会。国立のピッチ。 うちの学校は県大会こそいくも去年も一昨年も先輩たちは涙をぬぐった高校生活の最後の公式戦。 全校4500校あまりの激闘がはじまる 4/25に一回戦の幕開けだ。 その日を迎えた午前10:00。 会場には友達がかけつけ、仲間の彼女がかけつけ、その友達もかけつけ、母校での開催とあって、がんばれーと外野の応援。 試合開始だ。 負ければ引退のインターハイ予選。 そのあとの自分の人生なんてなにも考えていなかったな。 不動のフォワードの自分。 0ー0のまま前半30分。 コーナーキックからの相手のクリアボールが真っ正面に、 「引退したらなにも目標のない自分になるんだろぉーなぁー」 いつもは何も思わない自分にふとそんなことが頭がよぎり、シュートの姿勢に入る。 「3年間、夜の公園での自主練も何も意味をもたなくなるんだろぉーなー」 ボールがとまってみえた。それと同時に色んなことを考えた自分がいた。 ズドン!!! ゴールネットを揺らした。 インターハイ予選初ゴールだ。仲間たちが次々によってくる。 「ナイスシュート!」 仲間たちが笑顔でかけよってくれたのは嬉しかった。 今まで辛い練習を乗り越えてきた仲間たち。 応援の人たちもわぁーわぉーきゃーきゃー騒いでいる。 しかしそれは不思議だった。 「なぜ??君たちは僕を応援しているの?」 顔も知らない友達のつれたちは、なぜ僕らのチームを、僕を応援しているの? 不思議だった。 応援が力に変わる。そんなわけあるわけないと思ってたグズの自分がそこにはいた。 結局そのあとも畳み掛け、5ー0での勝利。 当たり前の初戦トッパ。 試合終了後、監督の話も終わり解散。 仲間たちは彼女のもとに走り、彼女に慰め、ほめてもらっている。 楽しそうな仲間たちの笑顔には、なにかほほえましかった。 しかしもう次戦である。 そんな思いをもって帰宅しようとしたとき二人のカップルが近づいてきた。 だいきとれいだ。 「おめでとうーーー!!!」 「ありがとう」 「お前の一点めすごかったな」 「私もみてて凄かったよ!」 「うん。だいきもかっこよかったな。あのシュートとめてなかったら」 「わたしの彼氏だもん!」 あとはイチャイチャが始まり、それをほほえましく見ている自分。応援をしてくれている理由はわからないけど、このときは彼女のために頑張っている仲間たちも捨てたもんじゃないと感じた。 自分は誰のためにここまでやってきたのか。 そんな思いも一瞬頭をよぎって、帰宅の途につく
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