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「む、ぐっ、ぐがっ?」
な、なんだこれは。
甘い、甘すぎる。新手の毒ではないのかっ!?
「う、…く、くあああああっ」
自分は床に転げ落ち、七転八倒しながら喉をかきむしった。
苦い、甘い、喉が、焼けるように熱い。
涙が、汗が止まらない。
しかし…
負けるものかぁっ。
思わず吐き出したくなる衝動を堪え、気合いで呑み込んだ。
「はあっ、はあっ…」
何とかなった。
椅子に座り直し、机に向かう。
すると…
急に身体が熱くなってきた。
ポッポと顔に熱が集まる。
…何かがおかしい。
極度の発汗、動悸、身体の火照りに、息切れ。
やはりあれは、毒だったのかも知れない。
しかし同時に、不思議な高揚感が自分を支配しはじめていた。
これは一体、どうしたことだ?
綾小路への気持ちが押さえきれずに胸からどんどん溢れ出す。
こんな気持ちを何と言ったらいいのだろう。
次々と、活動写真のような甘い言葉が頭に沸き上がってきた。
しかし、今ならいける…
この自分が、“アイラブユー”とでも言えそうだ。
自分は、震える手でペンを握り直すと、猛烈な勢いでそれを動かし始めた。
「うおおおおおおおっ」
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