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惚れていたのはそっちのほう?!
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
調査団一行が王立研究所へ戻る頃、規則が変わっていた。
女性の制限を解除し、希望した場所へと行けるようになったこと――行って欲しくない場合は、直接本人を説得するようにというお達しも出ていた。
「ありがとうございます! 魔女様が提案してくれたおかげで、今まで行けなかった所にも堂々と調査に行くことができます!」
研究所で他の所員を相手にし、疲れて中庭で休んでいたセレネーを、一目見てキラは嬉々とした表情で駆け寄ってきた。どうやら詳細は所員の誰かに聞いたらしい。セレネーは苦笑しながら手をヒラヒラとさせる。
「まさかこんなに魔女の意見が尊重されるなんて思ってもみなかったわぁ……貴女を待ってる間にあれこれ質問されるし……疲れたぁ……」
「ずっと悔しい思いをしていたことが一気になくなって、すごく嬉しいです! でも、どうしてわざわざ……?」
「だって貴女がそれで苦しんでるって分かっちゃったんだもの……ごめんなさいね。実は貴方のこと、水晶球でずっと様子を見てたのよ。カエルの呪いを解くためにね。王子、もう頃合いよ。告白しちゃいなさい」
セレネーが呼びかけると、首を傾げているキラの胸ポケットからカエルが跳び出し、真正面からキラを臨んだ。
「キラさん……実は私は西の国の王子。このカエルの呪いを解いてくれる方を探して旅を続けていました――」
事情を説明していくと、キラは目を丸くするばかりで終始驚いた様子だった。
そしてカエルは緊張した面持ちで願いを伝える。
「どうか貴女の口づけで、私の呪いを解いて頂けませんか? そして私の妃になって頂けませんか?」
手応えは十分にあった。きっといい返事が聞けるハズ……だと確信していても、どうなるかは分からないと様子を見守るセレネーも緊張する。
しばらくして、キラは小さく唸りながら口を開いた。
「もしお妃さんになっても、研究はしても良いのかしら?」
「もちろんです! 私もできる限りお手伝いします」
「んー……じゃあ分かったわ。呪いが解けますように……」
コクリと頷いてキラがすぐにしゃがみ込んでカエルを手に乗せ、チュッと可愛くキスをする。
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