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公園に着いてからの壱は、明らかにいつもと違っていた。
それまではちょっとした気まぐれ心と遊び心で、右に左にひらひらと散歩していたと思う。
水飲み場のそばの生垣まできたとき、また壱の様子が変わった。
鼻をクンクンさせながら、今度は前足で土をかくような仕草を見せた。
「壱、ここ掘れワンワンかい?」
壱は生垣の下の、同じ場所の土を何度も何度もかいている。
僕には何かを目指して掘っているように感じられた。
「ここに何かあるのかい?」
すると壱は顔を上げて、僕と視線を合わせた。
「ん? なんかあった?」
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