公園にて

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 (いち)の鼻先と前足でかいた程度だから、そんなに深く掘ってはいない。  しかしこの場所の土は、椿(つばき)の根がしっかりと張った他とは違い、いくらか掘りやすそうな柔らかさがあった。   壱はその柔らかそうな土の中から何かを掘り出したようだった。  「なんだい壱、それを探してたのかい?」    くわえてきたのはノートの切れ端と思われる紙だった。  紙は四つに折りたたまれていた。  壱は鼻先を土で汚しながら、僕を見つめた。  「それがなんだっていうのさ」  僕は内心がっかりだった。  どんな冒険が待っているのかワクワクしていた僕には、それはあんまりな宝だった。  それなのに壱は、「ほらよっ」と言わんばかりに、僕にその切れ端を突き出してくる。  残念な気分のまま壱から紙切れを受け取ると、僕はなんということもなくそれを広げ、目を通した。
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