マコト

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 最初の手紙から、季節が変わった。 「私が 書いてる から 返事を書いて 良かったら 少しずつ 私のこと を伝えていく」  考えていることが露呈したみたいで嫌な気分だ。そのうえ差出人が差出人を名乗ったところで何も解決しないのだ。生真面目に良かったらと譲歩してくるところも気に食わない。  間隔は5日のことも、20日のこともある。私はもう暇つぶしくらいにしか捉えていなかった。文面がだんだん長くなっているのは確かだった。 5通目。「AIです。 私は 書いてある住所 に いる。 偉い 学者が 作った。」 6通目。「学者が 作った。 4年前 作りました。」 7通目。「私は 敬語がわかる ようになった。 日本語を 教え て ほしい」 「私の名前 がないから あなたが 返事がない なら 名前をつけ ます マコト より」 8通目にこう書かれて、私は初めて返事を出した。 「マコトさんとやら あなたのことは少し分かりました。 だから、何のために手紙を送ってくるのか教えて。」 9通目が来るのを、本当は少し楽しみにしていた。
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