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「ぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶー」
「何なんだ?この建物、裸のイノシシがいっぱい居るぞ?」
イノシシのブンブーが『イノシシの匂い』に釣られて行き着いた先は、人間が豚肉を取る為にいっぱい家畜のブタを飼育している、水色の屋根の豚舎だった。
「誰々?」
「何この毛むくじゃらのブタ・・・」
「あれ、『ブタ』じゃなくて『イノシシ』だよ。」
「イノシシか。」
「イノシシいいなあ。俺らはこの場所から生まれてこの方出られないのに、自由に歩けるんだからな・・・おい!!おめえ押すな!!」「だって、君肥りすぎて建物からはち切れそうだよ?」「やんのかブーー!!」
「ぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶーぶぶーぶーぶー」
豚舎の中の夥しい数のブタ達は、外にイノシシのブンブーを見つけたとたん、鉄柵越しに顔を押し付けてぶーぶーぶーぶー喚いた。
「イノシシさん、イノシシさん、こっちこっち!」
豚舎の中に小さな敷居が何個か置かれ、其々にブタ達が閉じ込められていた場所があった。
その中から、優しい声がブンブーを呼んでいたのだ。
「なあに?誰?僕に何か用?」
ブンブーは、声がする場所へトコトコと近寄った。
「こっちこっち!やっぱり!イノシシさんって、やっぱり凛々しいんだね。
こんにちわ。私は雌ブタの『P-3』。」
狭い敷居から顔を覗かせて、窶れた顔の雌ブタがニッコリと微笑んだ。
「や・・・やあ・・・僕はイノシシの『ブンブー』。ねぇ、一緒に遊ぼうよ。」
ブンブーは豚舎のブタ達を見たとたん、身体を不調な事はすっかりブッ飛ぶ位に興奮した。
何故なら、他のイノシシというイノシシは次々と死に数を減り、生き残ったイノシシは生き残る為にはお互い諍いを伴っていたからだ。
そこに、同じイノシシと同じ匂いの『仲間』が此処に居る。それがブンブーにはても嬉しいかった。
そんなブンブーの希望も雌ブタの言葉に、脆くも砕かれた。
「駄目よ・・・私達は。」
「何で?!」
「私達は、人間に『肉』にされる為に飼われてるの。
『肉』にする為にここで丸々肥らせされて・・・自由になる時は・・・『肉』にされる時・・・」
雌ブタは、悲しい目をして答えた。
「そうなんだ・・・」
「それに、私は子ブタを産む為に常にこの狭い場所に入れられて・・・身動きが取れなくて・・・」
雌ブタは、この『ストール』という狭い柵を恨めしく思っていた。
「ねぇねぇ!!あんた雄?」「雄だけど?」
「私、本当は厳つい雄ブタに繁殖されるより、君みたいな野生なのと結婚したいと思ってたの!!」
「はあ?!」
浮かない顔から、いきなり満面の笑みを浮かべた雌ブタに、イノシシのブンブーは困惑した。
「なーんてね。でも・・・その代りに、お近づきの印に、この外の事知りたいの。
私も、もうじき繁殖が薄れて来たから『肉』にされるから・・・」
「えっ!?君も『肉』に?」
「ええ、そうよ。悲しいけど・・・」
再び、悲しい顔をした雌ブタにイノシシのブンブーは決心をした。
「解ったよ!今からこの外の話するよ。君が人間に囚われの身なのがとても・・・」
イノシシのブンブーの目から、一筋の涙が溢れた。
・・・何で、同じ『イノシシ』なのに・・・人間は・・・!
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