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師との出会い
『ニャーッ』
『見掛けない黒猫ですね。ヨハンは前に見た事がありますか?』
『いや、初めて見る黒猫だなクリス』
奇妙ですね。私達が暮らす村は周囲を森に囲まれて孤立していますから、外の世界から猫が迷い込む事はないはずなのですけれど。
『ニャーッ』《付いて来るがいい》『フリッフリッフリッ』
初めて会う私達の事を恐れる様子を見せずに、黒猫は尻尾を振りながら私の事を誘うように前を歩き始めました。
『付いて来るようにと、言っているように聞こえます』
『えっ、そうか?』
幼馴染みで友人のヨハンには、黒猫の言葉が聞こえないようです。
『私に用があるようですね。行って来ます』
『おっ、おいクリスっ』
私はヨハンを後に残して、黒猫の後ろに従い一人森の中へと入って行きました。これが謀略を司る天上界の神々の一柱である、我が師である謀略神との最初の出会いでした。
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