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私は、俗に言う「神」。
神だって恋をする。
結構一途だ。
秋の風が心地よいある日。
私と君は河原にいた。
学校帰りの君は、たい焼きを買ってきて、美味しそうに食べる。
ふと、気づくと…
唇の端に餡が付いている。
君に「餡が付いているよ」と伝えると
君は瞳を閉じて「取って」と答えた。
君の薄くて小さな唇に思わず目が行く。
唇を指でなぞり、唇の端についた餡を拭う。
「取れたよ。」
君は瞳を開けない。
私は君のおデコにキスをした。
君は不満気に唇を尖らせる。
私が君の唇を奪えば、君は二度と輪廻転生しない。
君は輪廻転生を繰り返し…君に関わる全ての人を笑顔にする務めがあるんだ。
君は再びたい焼きを食べる。
そして再び唇に餡を付ける。
それを再び拭い、おデコにキスをする。
たい焼きを食べている間は無限ループだったが、食べ終わると、それも終わる。
だから私は君のことを抱きしめた。
抱きしめて、おデコにキスをした。
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