会話できる空気

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翌朝…… しかし、なんの異常もなく……僕は目覚めてしまった。 キッチンに行って、ガス(せん)を調べてみると、元コックはキッチリ閉じられていたのだ。 「おかしいな……? 誰かいたのかな……?」 ドアの鍵は、ちゃんと施錠されたままだった。 各部屋も調べたが、誰もいなかった。 ただ……なんとなく……ヒンヤリしていた。 仕方なく、今日のスケジュールを調べた。 生きていた……ということは、仕事に行けということだろう……と思ったからだ。 「今日は……午後からモデル撮影か……」 とりあえず食事をしようと、いつものようにトーストを作りコーヒーを入れることにした。 当然、納得はしてなかった。 とにかく昨夜から変だった……。 しかし、いくら考えても答えは出ない……。 出ないまま、いつもの服装に着替えた。 何故か変な空気のこの部屋から、一刻も早く出たかったからだ。 午後までの時間を()める方法は、何とでもなる。 すぐにシナモンをトッピングしたトーストを作ると、さっさと食べ、コーヒーを半分ほど飲んでから、(ひげ)()ることにした。 コーヒー等が載っているテーブルを背にして、いつものようにクローゼットの鏡を使う。 が、シェーバーのスイッチを入れようとした時…… ガチャン! 後ろで音がしたのだ。 僕はビクッとして振り向き、良く見てみた。 特に異常は無かったが…… テーブル上の皿に載せたカップが、少しずれている気がした。 「えっ? なんだ……? 気のせいかな……?」 しかし気になったので、クローゼットの鏡の角度を少し変えて、コーヒーカップが見えるようにした。 再度スイッチに手をやりながら、鏡のカップを見ていた。 すると、カップが少し浮いて…… ガチャン! と落ちたのだ。 僕は、テーブルに向かって、 「おい、そこに誰かいるだろう! お前は誰だ!」 しかし返答は無かった。 幽霊……? だけど今、朝じゃん。 しかしカップが浮いて落ちたのは、間違い無かった。
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